執事的な同居人
懐かしいその記憶。
颯太さんが帰ってきたらまたパエリアを作ってもらおう。あの時のパエリアは本当に美味しかったんだもん。
私の好きな食べ物にランキングインしたぐらいにね。
(それとも、今度私が作ってあげようかな)
作り方をじっくり見ようと、その紙に手を伸ばす。…と。
「危ないよ。」
その手は紙に触れる前に掴まれてしまって
「この辺触るとたまに上から落ちてくるから」
自然と視線を上に移せば、沢山の吊るされたワイングラスと
カズさんの顔。
「あっ…ごめんなさい、気になっちゃって…」
「これ、気になるの?」
「………………」
コクリと頷けば
「こっちにも同じ紙あるから」
私を手招きして、
その場所へと案内してくれる。
「ん。」
「あ、ありがとうございます」
棚から1つのファイルを取り出して、私が求めているページを開けて渡してくれた。