執事的な同居人
関係



開店してからは、さっきまで静かだった厨房も慌ただしくなってきて


座って待ってるだけの私は居た堪れない気持ちになる。





(何か手伝えないかな……)





でもここから出ちゃダメって言われたし…






涼さん…寧ろこの場所の方が落ち着かないです!





いっそのことさっきの控室に戻ろうかと思って、静かに邪魔にならないようにと動き出す。





確かそこを曲がったところに…





少し緊張しながらも黒い引き戸のそこを恐る恐る開けて、外に出れば 





(わっ……)





まさかのそこは外の世界で。



朝見た時とは全く違う雰囲気のそこに一瞬見惚れてしまった。……のと同時に、





(や、やばいっ!!!)





見つかる前に戻らないと!!




後ろの引き戸をもう一度開けようとするも、……何故か開かない。





(なんでーーー!!!?)





ど、どうしよう!!


涼さんに怒られる!!


あの場でジッとしてれば良かった…!




たった今後悔しても仕方がないことで、逃げ場のないこの空間にダラダラと汗が出る。

< 198 / 422 >

この作品をシェア

pagetop