執事的な同居人
関係
開店してからは、さっきまで静かだった厨房も慌ただしくなってきて
座って待ってるだけの私は居た堪れない気持ちになる。
(何か手伝えないかな……)
でもここから出ちゃダメって言われたし…
涼さん…寧ろこの場所の方が落ち着かないです!
いっそのことさっきの控室に戻ろうかと思って、静かに邪魔にならないようにと動き出す。
確かそこを曲がったところに…
少し緊張しながらも黒い引き戸のそこを恐る恐る開けて、外に出れば
(わっ……)
まさかのそこは外の世界で。
朝見た時とは全く違う雰囲気のそこに一瞬見惚れてしまった。……のと同時に、
(や、やばいっ!!!)
見つかる前に戻らないと!!
後ろの引き戸をもう一度開けようとするも、……何故か開かない。
(なんでーーー!!!?)
ど、どうしよう!!
涼さんに怒られる!!
あの場でジッとしてれば良かった…!
たった今後悔しても仕方がないことで、逃げ場のないこの空間にダラダラと汗が出る。