執事的な同居人






「ここだよ。」



小声でそう言う涼さんに、私は息を飲む。





ここに、麗華さんがいる。


聞くんだ。颯太さんの居場所を。





静かに、そのドアに手をかけた………が。






「お兄ちゃんっ!!?」






私が開けるよりも先にそのドアを開けたのは


目をこれでもかと丸くさせて驚いた表情をする、




………麗華さん。






「お兄……ちゃん?」






どういうことだろう…?






「どうかなさいましたか?」



見るからに動揺している麗華さん。それに対して涼さんは落ち着いた口調で話していた。






「お兄ちゃんがいる…」


「お兄ちゃん、とは?誰のことでしょう?」





私も涼さんも頭に「?」を浮かばせる中、麗華さんは眉根を寄せながらも少し悲しげな顔をする。





「カズっ!!カズはどこ!!?」





そう叫んで。





(カズ、って………)





考えるよりも先に


その場に現れたその人。






「…………麗華。」





カズさんも、彼女の名前を呼んだ。


しかも呼び捨てで。






「「えっ?」」






私と涼さんは声を揃えてそう言った。それはもう……驚きが隠せなくて。





「まてまて。えっ?カズ、お前麗華さんの兄ちゃんなの?」


「まあ……そうですね。」


「全然知らなかったわ…そんな大事な事早く教えてくれよ」


「……この店に来ていたなんて知らなかったので」


「そらそーか…カズ厨房担当だしな」





厨房担当だから、外に出る事がほぼ無いため気付かなかったのだろう。



そして今日、外の世界に出て、妹が来ていることに気付いたってわけか…

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