執事的な同居人
「お待たせしました。」
そんな私達の元に一本のボトルが届くと
「あれ?これは頼んでないよ」
「いつも来て下さっているので特別にご用意致しました。」
「え~?いいの?嬉しいっ」
それはとても可愛らしいケーキで、麗華さんは嬉しそうに携帯を取り出した。
その携帯はブランド物のケースを付けているのだから、颯太さんの物ではない。
(あの時なんで颯太さんの携帯を待ってたんだろう…)
家に来るのに必要だったから?
「お写真撮りましょうか?」
「じゃあお願いしようかな!お兄ちゃん一緒に写ろ~?」
カズさんの腕を引いてパシャリと1枚。
「パパに見せたら喜ぶかも」
「見せなくていいから」
「またそんな事言って~。パパもお兄ちゃんのことあれでも気にしてるんだよ?」
「…………………」
2人の会話はよく分からないけれど、
私はそんな事よりも颯太さんの事で頭がいっぱいで
早くこの苦しさから逃れたくて
「わ、たし……帰ります」
会って話がしたい。という気持ちよりも、早くこの場から逃げたいと思った。
(好きな人がいるのに…私にキスするなんて、最低じゃん…)
もしかしたら私の事が好きなのかも
なんて想像していた私を殴りたい。
相手は大人で、何を考えているかなんて子供の私には分からなくて、
"年上を好きになることは自由だけど、…オススメはしない。きっと、しんどくなる。"
…カイの言う通りだと思った。
今、すごく、しんどい。