執事的な同居人







ふと。棚の上に視線がいく。



棚の上には香水やクマのぬいぐるみ、


そして……






(………カズ?)





1枚の写真。その写真には麗華さんと一緒に写るカズの姿があった。



カズは俺と同じく厨房担当で、良くシフトが被ることから仲良くなった。俺より3つ下で、そんなカズは妹がいると言っていた。






(兄妹……なのか?)





だったとしても、麗華さんは大手企業の御令嬢だったはず。なのに、なんでカズはあそこで働いているんだ?




2人の関係性は写真だけじゃ分からない。




ただ、その写真に写る2人は、


笑顔が似ているということ。





「…………………」





怪訝に思いながらも、今はここから出るのが優先だと思い足を進めた。





ドアの前に立ち、なんの躊躇いもなくドアノブに手を掛ける。




グッと下におろせば、


最後までおろす前に





ガチャンッ





反対側でかけられたのであろう鍵によって、その行動は無意味に終わる。






(内側から開けられないドアってなんの意味があるんだよ…)





人を監禁する時しか使い道ないだろ。


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