執事的な同居人
とても甘い香りのこの場所に息を飲む。
「颯太さーん……」
名前を呼んでみるけど、その声はとても小さな声。
知らない人の家に入ってしまった罪悪感と緊張で声が出なくて。
(どこにいるんだろう……)
返事がないから
いないんじゃ、と不安になる。
そんな気持ちでキョロキョロと広いこの部屋を見渡せば
一箇所だけドアが閉まっている所が。
そのドアは鍵をかけられていて、
「ここもこれで開くのかな……」
合ってるか分からないけど
試して損はないと思ってカードキーを使ってみる。
ガチャンッ!
と、大きな音と共に鍵が開く音。
(これで開くんだ…)
開いた事に驚きつつも
ドアノブに手を掛けて恐る恐る中を覗き込む。
視界に入るのは
「あっ!颯太さん…!」
私がずっと探していた彼。
その顔は驚いているような
今の私とは真逆の顔をしていて
(やっぱり、来るべきじゃなかった…?)
そう思った直後
「っ、! そ、うたさん…?」
私は彼に抱きしめられた。