執事的な同居人
それをゆっくり離すと、俺の目に映る彼女の顔はまるで林檎のように赤くなっている。
「そ、颯太さん……」
潤んだ瞳で名前を呼ばれると、胸の奥がグッときた。
触れたい。もっと。
俺はキミに触れたくてたまらない。
「…………………」
もう一度、その白くて柔らかい頬に手を伸ばすが
今は、それどころではないという事。
アイツが帰って来る前にここから出なければ。
「……帰りましょう。」
紀恵さんの手を掴み、握る。
その小さな手がとてもあたたかくて
ずっと握っていたいと思った。
あの家に帰ったら、話をしよう。
ちゃんと話ができたら
その時はまた
キミに触れてもいいかな。