執事的な同居人
「あっ、そういえば…
麗華さんが颯太さんの携帯持ってたけど…?」
「ああ、もういいです。あの中に大事なものは入ってないので」
「えっ!?だ、ダメだよ…!」
颯太さんがいらないと言ったあの携帯。
(やっと連絡交換できたのに…!)
グッと繋いだ手を引っ張れば、
颯太さんは怪訝な顔をして再び振り向いた。
「返してもらおう!!」
「えっ」
「まだ涼さんのお店に居ると思うから!」
「涼さんの店って……紀恵さん、ホスト街に行ったんですか?」
ムッとした表情を見せる彼から逃げるように顔を背けた。
「と、とりあえず!その話はあと!!今は携帯を返してもらうのが先!」
今度は颯太さんの手を引いて、その方向へと歩き出す。
「…………………」
その後、颯太さんは何も言わずに私の後をついてきてくれた。