執事的な同居人
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ホスト街に辿り着くと
さっきまで前を歩いていた私と変わって、颯太さんが前を歩き始めた。
背に隠すようにして。
「念の為深く被ってて下さい。バレるとめんどくさいことになるので」
言われて、帽子を深く被った。
確かにホストっぽい服装をした人が未成年の手を引いてホストクラブの中に入っていくなんて、良くない絵だよね…
私が居た時間よりも遅い時間帯の今。
ホスト街の雰囲気もなんだかちょっと変わってる気がする。
なんだかちょっとえろっちい感じ…
あっという間に涼さんのお店に着いて、颯太さんは躊躇いもなく中に入って行く。
入り口付近にいた案内人のような人に捕まると、その人は目を丸くさせて「今日は休みでは?」と声をかけられていた。
「麗華さん、来てる?」
「来てますよ。」
「どの部屋?」
「奥のVIPルームです」
「了解。」
その案内人の横を通り抜けて、ズンズン中へと歩いて行く。とりあえず私はペコリと頭を下げておいた。
(あの部屋VIPルームだったんだな…)
確かに高そうな部屋だった。
シャンデリアもすごく大きくて…
あの部屋を思い返していれば、颯太さんが急にピタリと止まったからぶつかりそうになった。
見上げれば、見覚えのあるドア。
その部屋に着いたのだ。