執事的な同居人
「……どうやって中に入ったの。」
「俺が渡したんだよ。カードキーをね」
「っ!?」
カズさんのその言葉に、慌てるようにしてカバンの中を探る麗華さんは
「………無い」
「そりゃあね。そこから抜き取ったから。」
「っ…!」
「………麗華。嘘はダメだよ。麗華のした事は紛れもなく犯罪だ。そんな事ばかりしていたら父さんの名前に泥を塗る事になるよ。」
無言のままギュゥ…ッと可愛らしいスカートを握りしめる麗華さん。
その顔は少し悲しげな表情を浮かべていて
「もうどうでもいいからさ。
さっさと家に帰りたいんで携帯返して下さい」
「…………………」
出す様子のない麗華さんに
「早く出せ」
今まで聞いたことのないような。
冷たい声に冷たい目をする颯太さん。
麗華さんはビクッと身体を震わせていて、思わず隣にいた私も背筋がゾクっとしてしまった。
いつもと口調が違うから余計に怖い…