執事的な同居人
「あー……すみません、」
「ふー…」と小さく息を吐いた颯太さんは、クシャッと髪を掻いた。
「……ムシャクシャしてまして、つい八つ当たりを。」
「…………………」
ムスッと拗ねた顔をすれば
「何もされてないですね?」
彼は不安げに眉根を下げる。
「何もされてないよ。涼さんもカズさんもみんな良い人だったから」
「……そうですか。」
安堵の表情を浮かべる彼。
怒ってる。
というよりも心配だったのか。
「ですが、もう二度とホスト街には行かないで下さい」
「………うん。分かった。
あっ、でも、カズさんにもちゃんとお礼言いたい。」
「ダメ?」そう言いたげな顔で颯太さんを見つめれば
「………ダメ。」
幼い子供のような、そんな言い方。
いつも敬語の颯太さんに言われちゃうと、そのギャップから不覚にも「可愛い」なんて言葉が頭に浮かぶ。