執事的な同居人
「……気がないんじゃなかったの?」
「虚言ですよ。
自分自身にそう言い聞かせてた。
紀恵さんには彼氏がいる。
高校生に手を出してはいけない。
そう自分自身に思わせないと、また手を出してしまいそうだったので。」
私の髪の毛にゆるく指を絡ませる彼。
ジッと私を見る目はとても色っぽくて
「綺麗な髪だね。ショートじゃもったいないよ」
「!!」
その言葉は、
幼き頃に颯太さんに言われた言葉。
ショートヘアが定番だった私がなんで伸ばしたかと言うと
"せっかく女の子として生まれてきたんだから一回伸ばしてみな?紀恵、絶対似合うから"
颯太さんにそう言われたから。
今の私はロングヘアーで
なのに、
そんな事を言ってきたってことは…
"うーん……じゃあ、長くなったらチュッチュしてくれる?"
"いいよ。紀恵がもう少し大きくなってからね"
昔の記憶を
「今、約束を果たしましょうか。」
「んっ……」
思い出してくれたってこと。
4度目のキスと同時に、涙が溢れ出る。
やっと、思い出してくれた。
私の事を、昔の記憶を
あの頃に交わした約束を……