執事的な同居人
だけど、
今回は軽いものではなくて
「んん、っ………」
何かを流し込まれた。
それが何かなんてすぐに分かる。
口いっぱいにリンゴの味がするから。
ゴクン、と飲み込めば
目の前で怪しい笑みを浮かべる彼。そんな彼の手にはリンゴのマークが入った飲み物。
「な、んで…リンゴジュース?」
「同期が二日酔いだった俺にくれたんです。これを飲めば元気になるってね。
どうです?元気になりましたか?」
リンゴジュースにそんな作用が無いことくらい分かってるくせに……
でも、まあ、
リンゴジュースのおかげかは分からないけど
泣き止みましたね。
「紀恵さん、真っ赤です」
「うるさい……」
「りんごみたいですね。」
「……未成年に手出しちゃダメでしょ」
意地悪くそう言えば
「同意の上なら問題はないはずですよ」
再び彼は怪しく笑って
「もう一回飲みますか?」
「い…いらないっ!!自分で飲める!!」
「そうですか、それは残念です」
これからの同居生活は
心臓がいくつあっても足りない気がする…