執事的な同居人
赤印
「おはようございます」
いつもの朝。
今日は颯太さんがいる。
テレビの音も
料理をする音も
全部がいつも通り。
………ただ一つ違うのは
「お、おはよう」
私の意識がハッキリしているということ。
いつもなら眠たくてたまらない朝なのに
今日はなんだか目が冴えていた。
実はというと、いつも起きる時間の1時間前から目を覚ましていた。
覚ましていたものの、昨日の事を思い出して、1時間ずっと布団の中で悶えていたのだ。
「(いっぱいキスしたなー…)」ってね。
「今日はソファーに寝っ転がらないんですね?」
颯太さんもそんな私に少し驚いているみたい。
毎朝恒例だったもんね。
「今日は目が冴えてて…」
「珍しいですね」
クスリと笑いながらも、食卓の上に牛乳の入ったコップを準備する颯太さん。
そんな彼は今、ネクタイをつけていない。
それも珍しいけどなぁ…
いつも通りに席について
「いただきます!」
「いただきます。」
一緒に手を合わせてご飯を食べ始める私達。
いつも通りの事なのに、こんなにも幸せな気持ちになるなんて。
1人よりも誰かと食べるとご飯が美味しくなるというのは合っているなと思った。