執事的な同居人
(食べ方綺麗……)
今まで意識してなかったことも
今となっては意識して見てしまう。
(………カッコいいな)
整った顔立ちに見惚れていれば
「ん?なんですか?」
「!!」
その視線に気づいたのか、視線が私の元へ。
「顔に何かついてます?」
「ううん…!何も!!」
見惚れてた…!
今は食べる事に集中しなきゃ、と止まっていた箸を動かす。
(「ん?」ってときの顔、好きだなぁ…)
一瞬にして脳内は颯太さんの事でいっぱいになるのだけど。
食べ終わってからはソファーに座ってゆっくりしていた。
今日はグータラする時間がなかったからか、家を出るまでまだ時間がある。
目の前のテレビを流しながらも携帯を触る。
…と。
「お弁当、忘れますよ。」
ヌッと顔の横に出てきた弁当。
それは後ろで颯太さんが持っているから。
「……ほんとだ、ありがとう」
受け取ると共に軽く振り向けば、颯太さんはネクタイを付けようとしていた。
「ネクタイ付けるんだ?」
「はい。もう家を出るので」
「……そういえば、理由聞いてないんだけど」
「理由、ですか?」
「苦手なのにずっと付けてたこと!」
「ああ、紀恵さんにはもう完璧な所ばかり見せなくてもいいかと思いまして」
ニヤッと怪しげな笑みを浮かべる彼。
完璧な姿を見せようとして付けていたのか。よく分からないけれど、妙に納得してしまった。