執事的な同居人
「アザ?どれ?」
「………私じゃなくて、颯太さんの首にあったの」
観念したように溜め息混じりでそう言えば
「へぇ~…。同居人さん一見真面目そうに見えるのに、意外とやることやってるんだ?」
「…………どういうこと?」
「石沢サンってほんとウブだな~ 経験なさすぎ。まあ男に興味無かったから当たり前か」
「(喧嘩売られてる?)」
なんだかムカつくその言葉。
ほんと相談ミス。もう聞く耳は立てないでおこう。そう思い、再び外を眺めていれば
「キスマークだよ、それ」
「!!」
パッと慌てるようにして
カイの方に振り向いた。
「キスマーク…?」
「えっ、それも知らないの?よかったら俺が試しにつけてあげようか?」
「知ってる。だから大丈夫。」
私以外の人はカイのその言葉に「きゃー!」と悲鳴。本当モテるよね……
(………でも、)
キスマーク、か。
本当にあれがキスマークなら、相手はきっと麗華さんだよね?
(やっぱりあんな事やこんな事が……)
一瞬思い浮かんでしまったものの、首を振って脳内のそれを振り払う。
………想像したくないな。