執事的な同居人




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学校でも、家に帰ってからも、





私は「キスマーク」ばかりを考えていた。





(本当にキスマーク?)




ご飯を食べ終えて、食器を洗っている颯太さんをソファーから眺める。





彼は私の視線なんて気づいていないようで、カチャカチャと音を立てながら洗い物を。





(キスマーク……)



が、ある場所をジッと見つめた。





朝と変わらず赤いなぁ…





カイはそれがキスマークだと言ったけど、本当にキスマークなのか。ヤツの言葉を信じていいのか。





正解はもう本人に聞かないと分からなくて





「颯太さん」




洗い物をする彼の隣に立つ。





「どうしました?お水ですか?」


「ううん、違うくて。ここのアザどうしたのかなー…って、えっ。まってまって」





パシッと颯太さんの左腕を掴み、目元へと持っていく。手首がしっかり見えるようにと。





「この傷どうしたのっ!?」


「ああ、ちょっとした擦り傷ですよ。」


「ちょっとしたって……」




すごく痛そうなんだけど…





「消毒はした?」


「やってないですね」


「えっ!?ダメだよ!!ちょっと来て!」





洗い物をする颯太さんを強引に引っ張り、ソファーへと連れて行く。





「何もせずに放置してたら痕が残るよ!」





せっせとその部分を消毒していれば、クスリと笑い声。





「なに…」





クスクスと笑うものだから、怪訝に思いながらも消毒を進める。


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