執事的な同居人
___________________________________
学校でも、家に帰ってからも、
私は「キスマーク」ばかりを考えていた。
(本当にキスマーク?)
ご飯を食べ終えて、食器を洗っている颯太さんをソファーから眺める。
彼は私の視線なんて気づいていないようで、カチャカチャと音を立てながら洗い物を。
(キスマーク……)
が、ある場所をジッと見つめた。
朝と変わらず赤いなぁ…
カイはそれがキスマークだと言ったけど、本当にキスマークなのか。ヤツの言葉を信じていいのか。
正解はもう本人に聞かないと分からなくて
「颯太さん」
洗い物をする彼の隣に立つ。
「どうしました?お水ですか?」
「ううん、違うくて。ここのアザどうしたのかなー…って、えっ。まってまって」
パシッと颯太さんの左腕を掴み、目元へと持っていく。手首がしっかり見えるようにと。
「この傷どうしたのっ!?」
「ああ、ちょっとした擦り傷ですよ。」
「ちょっとしたって……」
すごく痛そうなんだけど…
「消毒はした?」
「やってないですね」
「えっ!?ダメだよ!!ちょっと来て!」
洗い物をする颯太さんを強引に引っ張り、ソファーへと連れて行く。
「何もせずに放置してたら痕が残るよ!」
せっせとその部分を消毒していれば、クスリと笑い声。
「なに…」
クスクスと笑うものだから、怪訝に思いながらも消毒を進める。