執事的な同居人
私、何かおかしなことしてる?
消毒しているだけだし、至って普通だよね。
(もしかして消毒の仕方間違えてるとか?)
その途端、気にせずやっていた事に緊張し始める。
「なんなの…何かおかしい?」
怯えるような、そんな目で颯太さんの顔色を伺えば
「俺なんかよりも紀恵さんの方が完璧だなと思いまして。」
優しい目をする彼。その瞳に捕まってしまえば、逸らすことは出来なくなる。
「手当も上手ですし」
「っ、」
「立場が逆転してますね」
颯太さんはきっと私の髪の毛を触るのが好きだ。
今も毛先を弄ぶようにして触ってる。ツンっと引っ張られたり、優しくふわふわと触ったり。
触れられている所は髪の毛だというのに、
「…………っ」
颯太さんに触れられている。
その事実が私を熱くさせる。
私の顔は仄かに赤くなっているはず。だって私の顔を見てフッと鼻で笑ってくるんだもん。
(……どうしよう、)
颯太さんに触れたいと思う気持ちが強くなってる気がする。
前までこんな気なかったのに…
一緒に過ごせるだけで嬉しかった。
だけど今は
(キス、したい)
そんな事を思ってしまう。