執事的な同居人
いつからこんなに大胆になったんだろう。
キスがどんなものかを知ってしまったから?
好きな人とのキスは心が満たされるってことを。
(私からするのは恥ずかしくてできないけど…)
したいのに、恥ずかしくてできない。
……とてももどかしい。
そんな気持ちを抱えつつも、ふと私の視線は颯太さんの首元に向いた。
朝と変わらず赤いその部分。
「これって、キスマークなの?」
その事については緊張も何もなく聞けた。
ずっと気になっていたから
早く知りたくて。
「そうだと言ったらどうします?」
「えっ。ええっと……」
予想外の返答に戸惑う私。
これがキスマークなら……
「ちょっと……いや、だいぶ嫌だ」
「そうですか」
「(そうですかって……)」
なんで嬉しそうにしているんだろう。
私はキスマークかもしれない事実に嫌な気持ちになってるのに。
「じゃあ、」
颯太さんはカッターシャツの首元のボタンを二つほど外した。
それにより、見えやすくなった首筋と鎖骨が露わになっていて
「つけなおしてくれますか?」
「え?」
「ここ。上書きして下さい」
彼がトントンと指差す先は
例の赤い部分。