執事的な同居人
実はというと、キスマークの付け方は今日カイに教えられていた。半ば強引に。
吸えばいい、と。
「や、やだ」
それって颯太さんの首元にキスするってことだよね?恥ずかしすぎる……考えただけでも身体が熱くなるのに出来るわけない。
ジッと見られているから目を逸らした。
またその瞳に捕まれば逸らせそうにないし。
「これはキスマークで合ってますよ」
その言葉のせいでもっと嫌な気分になった。
「この間、麗華さんに付けられたものです」
心の中で黒い霧が広がる。
やっぱりそうだったんだ。
麗華さんがつけた痕だったんだ。
「…………………」
とてつもなく嫌な気分。
恥ずかしいとかそんなことよりも、大好きな人の身体に誰かの痕があるなんて嫌で嫌で仕方がない。
逸らしていた顔を再び颯太さんの元へ。
視界には首元の赤いアザ。
…………ムカつく。
その部分に手を伸ばし、顔を近づけた。
触れるか触れないか。
そんなギリギリのところで止まっていれば、
颯太さんは私を抱きしめるようにして腰に腕を回す。
ギュッと密着する身体。
微かに感じる颯太さんの鼓動は少し早い。