執事的な同居人
チュッと首元に触れてしまえば彼は一瞬ピクリと反応した気がした。
その反応がとても可愛く思えて、カイに教えられていた通りにそこに吸い付く私。
初めてだから合っているのか分からないけれど、
ゆっくりと離れれば、視界に映るのはニヤニヤと怪しい笑みを浮かべる彼。
「付けれましたか?」
「た、ぶん……」
「ありがとうございます。これで俺も鏡を見るたびにウンザリしなくてすみそうですね」
「……余計に跡が残ったのに?」
もっとウンザリするんじゃ。
「これはもう紀恵さんが付けてくれた痕ですから。
その痕なら一生ついていても構いませんよ。」
ニコリといつものように微笑む彼。
ほんと、この人って
「私に依存してるよね」
「何度もそう言ってるじゃないですか」
照れる様子は一切なし。
寧ろ堂々とそう言うものだから
「そんな顔されたら、襲いたくなるだろ」
フッと鼻で笑い
赤くなった私の頬に手を当てる。
颯太さんは女の扱いが上手いと思う。
優しく撫でるように滑らせる指に
自然と背筋が伸びた。
甘い声に
頬に伝わる手のぬくもり
目が合うと、その瞳から逃れられない。
ニコリと微笑むその顔は
本当にスマイルキラーだ。