執事的な同居人
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「紀恵さん。ここに座って下さい」
「………………」
颯太さんがポンポンッと軽く叩いているカーペットの上へ腰を下ろす。
向かい合うようにして座れば、真剣な表情をする颯太さんに「うっ…」と身体を仰け反らせた。
なんだかこの感じ………怒られる気がする。
「紀恵さん。」
怖くてギュッと目を閉じていれば
「ルールを決めましょうか」
まさかの言葉にパチリと目を開けた。
「……え? ルール…?」
「はい。規則を決めましょう」
いや、わざわざ言い直さなくても。
「なんのルール?」
「これからの付き合い方についてです。
まずは…そうですね。
外での接触は禁止にしましょう。
例えば、手を繋ぐだとか」
「えっ、なんで!?」
「誰に見られているか分からないからですよ。
もしもその場に紀恵さんのご両親がいたとしたら、速攻同居は解消されるでしょう。
紀恵さんはそれでもいいのですか?」
………颯太さんの言ってる通りだ。
心配性のお父さんに見られでもしたら、きっとどう説明したって同居は解消される気がする。
そんなの……絶対嫌。