執事的な同居人







「麗華……よくここが分かったね」


「オーナーさんに聞いたの!体調不良で休んでるって聞いて、家の場所教えてもらった」


「(あの野郎……)」






たぶんカズも同じことを思っているはず。






「颯太くんがいるのは予想してなかったけど…」



チラリと視線をあてられたが、パッとすぐに逸らされる。





そして再び俺の顔を見て───







「やっぱりカッコいい顔してるね、颯太くん」






小さくて細い指が頬を撫でた。






「また会えて嬉しい。」





反省。という態度は一切無し。


アホすぎてもはや尊敬する。






「……麗華、怒るよ。」


「あ、お兄ちゃんは早く布団に入って!悪化するよ!!」


「……既に悪化してる」






フラフラな足取りのカズを支えるようにして麗華さんが傍についた。





その際、カズから「今のうちに逃げて下さい」との口パクが。





確かにその方が良い気がする。



ちょうど俺は玄関にいて、
すぐに逃げれる体制ではあるが……







「いろいろ買って来たんだ~!ステーキでしょ、あと唐揚げとポテト、それからビールも!!お兄ちゃんの好きな物いっぱい!!すぐ用意してあげるから待っててね~!」


「え"っ」







この女は風邪を引いたことがないのか?



そう疑ってしまっても仕方がない物ばかりを持ってきたらしい。






「ちょっ、麗華、待って、」





今にも倒れそうなカズは麗華さんを止めに行こうとキッチンへと向かう。



これじゃあカズの容態も悪化するばかりで、







「はぁ………」







帰るにも帰りずらい状況になってしまった。

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