執事的な同居人






家に着くと、久々って程でもないけど
なんだかそんな気持ちになった。



帰ってきたんだな~って。





「はぁ~疲れたぁ」





ドサッとソファーに倒れ込んだ。



やっぱりこの空間が1番落ち着くや。






「お風呂沸いてますが、先に入りますか?
それともご飯にしますか?」





その台詞、よく聞くよね。



ご飯にする?お風呂にする?それとも私?
みたいな。









………じゃあ、





「颯太さんにする」





冗談ぽくそう言えば



颯太さんはキョトン顔。





その顔がどこか珍しくて








「……颯太さん、」




冗談で言ったつもりだけど、私の中で何かスイッチが入ってしまったらしい。



近くにいた颯太さんの手を引っ張れば
同じようにソファーに倒れた。




そんな颯太さんの上に乗って






「キス…してもいい?」





言葉にしてしまえば
徐々に顔が熱くなっていくのが分かる。





久々に会えたから触れたい、とか


その気持ちもかなりあるけれど





触れ合えば、あのムシャクシャした気持ちは
消えてなくなる気がして───…






「っ、!」





慣れてないけど

颯太さんがいつもしてくれるようなキスを
自分から。






当然目を丸くさせる颯太さん。






だって、

私からするとか、

たぶん今までにないんじゃないかな。

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