執事的な同居人
「まずはこうやって腕を引っ張られて」
「きゃっ!」
グイッ!と強く引っ張られて
前のめりになりながらも引っ張られる方向へ必死について行く。……いや、連れてかれてる。
「壁に押さえ付けられる。まあ基本路地裏とかが多いでしょうね」
言葉通りに壁に押さえ付けられている私。
少し強い力に顔を歪ませても
颯太さんは弱めようとしない。
「そして、強引にカラダを触られるんですよ。あなたが嫌がろうが関係なく、こうやって」
「っ!そ、颯太さっ…!」
ズボンの上から太腿を撫でる手に自然と背筋が伸びた。
その手が徐々に上へと移動すると服の中へと入り込む。
「見知らぬ人に触れられるのは、気持ち悪いでしょう?」
颯太さんはそう言うけど
素肌に触れるその手は
気持ち悪いというよりも
「っ…颯太さんだから……」
颯太さんに触られているという感覚が
やけに鼓動を早く動かして
「嫌じゃないっ…」
「っ、」
目をしっかり合わせてそう言えば
彼の目は揺らいだ。
空いている手で颯太さんの服をギュッと握る。
動揺したのか、颯太さんの手の力が緩くなり
壁に押さえ付けられていた手は
だらりと力を失ったように下へと落ちた。
「そういうことじゃなくて…」
困ったように眉根を寄せる彼。
颯太さんの言いたいことは分かる。…けど
「見知らぬ人って言われても…目の前にいるのは颯太さんなんだもん……。そんなの、意識しちゃうよ…」
颯太さんならいいと思った。
「好きなんだもん…」
この人になら、捧げられる。
「…何されてもいい」
だから、この先を
「全部教えて欲しい」
瞳に映るのは
少し困ったように微笑む彼。
「っ………もう、」
頬に手を添えられると
グッと引きつけられた。
近くなった距離。
さっきまで積極的だった私もその距離には思わず目を丸くさせてしまう。
「…どーなっても知らねーから」
いつもと違う表情に
心臓が跳ね上がる程、高揚した。