執事的な同居人




*****







「紀恵~帰ろ?」


「ごめん、勉強して帰るから先に帰ってて!」






今日からは放課後居残りをして勉強することに。






「なになに?今回すごくやる気じゃん」


「まあちょっとね……前回赤点取っちゃったし」


「ふぅん?じゃあ私達先帰るね~」


「うん。また明日ね~」






軽く手を振って、再び目線は机に。







(今日は英語しよっと)






まずはこの間颯太さんに教えてもらった所を復習してー…






「真面目だね~」


「…………………」






前の席に誰かが座ったかと思えば






「テスト勉強?」


「………そうだけど」


「ふぅん。」






私の勉強ノートを覗き込むこの男は



一緒にいると目立って仕方がない人で







「俺も勉強して帰ろっかな~」


「え、カイくん居残りするの!?」


「私も残る~!!」



「(あーもう…)」







1人で集中出来ると思って居残りしたというのに、カイが来てから何人もの女子が残り出したし…




いつの間にか帰ったはずの友達もいるし。








(……集中できない)






騒がしい教室を出て、図書室に移動。







(モテすぎるのも大変だなー…)






どこか同情してしまう。







私みたいな一般女子だと、こうやって場所を移動したとしても、ついてくる子なんていないし。







「ここ静かでいいね」






…………1人を除いては。







「……なんでついてくるのよ」


「石沢サンと喋りたいから」






私はコイツから逃げてきたというのに。



これじゃあ移動した意味が無い。

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