執事的な同居人
もはや無視して勉強を進める私。
そんな私と向かい合うようにして座るカイ。
「勉強熱心なんだね~?初めて知った。」
「………………」
「あ、そこアルファベット間違えてるよ」
「………………」
「その翻訳も違うし」
クルクルとペン回しをする彼は
ムカつくけどなんだかとても余裕そうで、
「……英語得意なの?」
「うん。てゆーか全般いける」
聞く限り全教科強いらしい。
コイツなんでも出来るな……
「惚れた?」
「惚れない」
「残念だなぁ」
「うるさい」
「あ、そこ間違えてるよ」
「…………チッ」
「え、なんで舌打ち?」
「教えてあげたのに~」とケラケラ笑ってるけど、ここ図書室なんで静かにして下さい。
「石沢サンって同じミスしがちだよね」
ペン回しをしていた手を止めて
しっかりとペンを持ち直すと
「ここはこれを使うんだよ」
サラサラと私のノートに文字を書き込む。
「あー…なるほど」
「うん。で、ここはこれね~」
「おぉー」
「それから、ここにこれはいらないね」
「ふむふむ」
…………あれ。
「(しまった……)」と思った時にはもう遅くて、
「どう?俺、結構役に立つでしょ」
「………………」
悔しいけど認める…。
「良かったら教えてあげよっか?」
「……………うん」
「あれ、意外と素直」
愉しそうに微笑むカイに悔しい気持ちはあるけど
「カイが相手だと意識せずにいられるし、集中出来そうだし。」
「なんかそれ、嬉しいようで嬉しくないなー」
だってその通りなんだもん。
相手が颯太さんだと
分かりやすく教えてくれているのにも関わらず、
私自身が颯太さんの事ばかり考えてしまうから
それすらも頭に入ってこないんだ。
「まあいーや。それで?どれから教えて欲しい?」
「じゃあここから」
「それさっき教えたじゃん」
「もう1回教えて」
「石沢サン飲み込み悪そー…」
「なんて?」
「んーん。なんでもない」
そんなこんなで
一定期間中、
カイが勉強を教えてくれる事に。
まあ30分もしないうちに女の子達が集まっているのだけど。