執事的な同居人
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「同居を取り消される?」
「うん。」
放課後。
それから休日。
私とカイはこうやって近くのファーストフード店で勉強をする。
するって言っても、私のみ。
カイは私の勉強をみるだけで、
「勉強?しないしない。
授業で教えられたもの全部暗記できてるし」
そのため、勉強しなくても余裕らしい。
1回の授業で暗記できるなんて、
そんな頭が羨ましい限りだ。
「あー、だからそんなに必死なんだ?」
「まあそーだね」
「……ふーん」
「ねえ、ここなんだけどさー……、…カイ?」
ストローを口に咥えて
机に頬杖をつくカイ。
「なんか、教える気なくした」
「え」
「赤点取ればアイツとの同居は解消されるんだろ?」
「そうだけど…」
「じゃあ、赤点取りなよ」
「………は?」
「俺はそうなるのを望んでる。」
持っていた飲み物を机に置くと
「アイツと距離ができればいいのにって」
その手でペンを取り上げられた。
「カイ……」
「まあ、邪魔する気はないし安心してよ。
そう言ったところで石沢サンには響かないんだし。」
ニコリ、と。
いつものように爽やかな笑みを浮かべるカイ。
癖なのか1度クルリとペン回しをすると
私の勉強ノートに手を伸ばす。
「で、どこ?」
「あ…えっと、ここ…」
「また同じミスしてんじゃん。何回目?」
「知らないよそんなの…」
「アカテントラナイヨウニガンバローネ」
「(すごい棒読み)」
教える気なくしたと言いながらも、ちゃんと分かりやすく教えてくれるあたり。そういう優しい一面もモテる要素の1つなんだと思った。
(……後で何か奢ってあげよう)
いつも勉強を教えてくれているお礼にね。