執事的な同居人
「はい、今日の勉強会終わり~」
勉強会は19時まで。
「帰ろっか」
「うん。いつもありがとね」
「じゃあ手でも繋いでもらおっかなー」
「早く帰ろうか」
手を差し出してきたカイを無視してスタスタと歩く。
わざわざ時間を割いて私に勉強を教えてくれているのだから、手を繋ぐくらいしてあげてもいいかと思ってしまったけど……
私が颯太さんの立場なら
きっと嫌な事だと思う。
私も、颯太さんが他の女の人と手を繋ぐなんて、凄く嫌だ。
想像しただけでもムッとしちゃう。
昔のことはもういい。
ただ、今は、
私以外に目をくれないで。
「…………………」
颯太さんの事を考えると、ジワジワと心の中で広がっていくもの。
ドキドキと胸が高鳴って
キューっと胸が苦しくなって
触れたくてたまらなくて……
カイと別れた後、無意識に足が素早く動いた。
それはもうとても速く。
走って走って、息が乱れて苦しいほどに。
「はあっ…」
会いたい!早く!
「おかえりなさい」って笑顔でそう言って欲しい。
料理をする彼に後ろから抱きついて
ギューっと強く抱き締めたい。
きっと颯太さんは困った顔をすると思う。
けど、彼は優しく微笑んで
「どうしたんですか?」って。
私を包み込んでくれると思うんだ。