執事的な同居人
依存
無我夢中に走って
目指した場所はホスト街。
人目も気にしないで
あの店の前へとやってきた。
店の前に張り出されている写真。
その中に
(…………ない。)
彼の写真はない。
その事実にホッと安心している自分がいる。
今日は厨房で働いているのかも。
きっと理由があって
家に帰ってこれなかったんだ。
ホッと安心してしまうと、なんだか必死になっていた自分が恥ずかしく思えてきた。
(か、帰ろ…)
何してるんだろう私。
今やるべきことは勉強なのに……
颯太さんが家にいないだけで、とても不安になってしまうんだ。
クルリと振り返って、来た道を戻ろうとした。
それが大いに間違っていて
この時の私は慌てていたからか帽子を被ることも忘れていて、顔を隠す行為もしていない。
だから──────
「キミ何歳?だいぶ若いっしょ?」
颯太さんが言っていた通り
「(お酒臭い…)」
酔ってるであろう男の人に絡まれてしまった。
しかも
「こーゆーとこ初めて?」
「ちょっ、!」
割と強引気味に。
肩に回された見知らぬ男の人の腕。
距離がさっきよりも至近距離になり、お酒の匂いがプンプン臭う。