執事的な同居人
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「ありがとうございました」
家まで送ってくれたカズさんに深々と頭を下げる。
「もう来ちゃダメだよ」
「はい…肝に銘じます」
そう言えば、カズさんは口元を緩めて微笑んだ。
「颯太さん、今日の出来事を知ればキレて帰って来そうだね」
「あははっ……それだと嬉しいですけど…」
何故か、電話は繋がらない。帰ってる最中にもう一度電話してみても繋がらなかった。
(私が良くない態度をとったから怒っちゃったとか…?)
ずっと勉強のことしか考えてなかった自分自身を今になって酷く憎む。いや、もう、赤点取った私を憎みたい。
「………………」
苦笑いを浮かべる私に、カズさんはおもむろにポケットから携帯を取り出した。
「俺からも連絡してみるね」
「いや、でも、繋がりませんよ」
誰が連絡しても繋がらない気が…
「────あ。もしもし、カズです」
「(繋がってるし)」
しかも一瞬で繋がってたし。
その事実にちょっぴり心が傷ついた。
やっぱり私に対して怒っているんだと。
「はい。それで───」
カズさんが話をしている間、私は何で怒らせちゃったんだろうと考えてた。やっぱり態度でかな……
思い当たる節はそれしかないのだけど。
「では失礼します。」
耳に当てていた携帯を下ろすと、
「来るって。」
「えっ!?」
「ここから新幹線で1時間くらいのとこにいるらしいから、今からこっちに帰って来るみたいだよ」
「えぇっ……」
う、嬉しいけど……なんだろう。申し訳ない気持ちと会うのが怖い気持ち。
きっと颯太さんは怒ってる。今までの私の態度といい、今日の出来事といい……颯太さんはどんな顔をするんだろう。