執事的な同居人
解消
──────────颯太side
涙を流す紀恵さんに心を痛めた。
勝手に決めた同居解消。そうなってしまったのは、紛れもなく俺のせい。
全て自分の責任だというのに、俺は彼女を泣き疲れるほどに泣かせてしまった。
「…………………」
彼女は今、眠っている。
その寝顔と頬にある泣き跡。
……また、大切に出来なかった。
怯えた顔も
震える身体も
泣き顔も
全てもう見たくないというのに
最後の最後まで俺は彼女にツラい思いをさせてしまった。こんな俺を酷く憎む。
………いいや、俺を憎みたいのは紀恵さんの方かもしれないな。
『同居解消』を勝手に決めた俺を、彼女は酷く憎むだろう。……悪いのは紛れもなく俺自身なのだから。
「………ごめん」
眠る彼女にそう呟く。
キミを、大切にしたいんだよ。
紀恵さんはまだ高校生。
経験だって何もかもまだ浅い。
だからこそ、
大切に大事に
「俺の愛情は異常なんだよ…」
これが当たり前だと思わないように
(…今の俺はキミの傍にいるべきじゃない)
ちゃんとした愛情を
いつかキミに教えられたら。
………それが、俺の願い。