執事的な同居人
ショップに着くと
たくさんの人がいながらも、求めていたカチューシャ売り場へ。
「かっ…可愛いっーー!!!!」
売り場に並んでいるそれは
どれも可愛いくて迷う迷う。
「ねえ!颯太さんは…」
私だけじゃなくて颯太さんにも付けてもらいたい。
そう思って
彼に意見を聞こうとするのだけど…
「すみませんっ、あれ取ってもらってもいいですか…?」
「これ?」
「は、はい!ありがとうございます…!」
「どういたしまして。」
「あの、私も…!」
知らぬ間に颯太さんの周りには
若い女の人達でいっぱいだった。
みんな目をハートにさせて
颯太さんに話しかけられる理由を探り探り。
(モテてる…)
やっぱり颯太さんってモテるんだな……
ニコニコと微笑んでいるから、話しかけやすいもんね。
私という彼女がいながらも、女の人達は私に気づいていないかのような。
もしかして……カップルだと思われていない?
(いや、まあ、そうだよね)
だって私幼いんだもん。
現に高校生だしさ。
社会人の颯太さんに比べると、やっぱり釣り合ってないだろうし。
「…………………」
とても悲しい現実。
再度その事に気付かされて、しょんぼりとしながら手に持つそれを1人で鏡の前で試しに付けてみる。
うん、可愛い。
(……これにしよう。)
本当はもっと悩みたかったけど、
なんだかさっさと決めたくて。
この場所から出て行きたくて。
(だって颯太さんは……私のなのに)
と。
「!!」
その鏡に映るのは
私と、颯太さん。
あまりにも突然現れたから
びっくりして目を丸くさせてしまった。
「どうした?浮かない顔して。」
「………してない」
「目、合わないけど」
「………………」
言われて、渋々ながらも彼に目を合わせる。
「それ、似合ってるじゃん」
彼は変わらず優しい顔をしているのに、
私は彼の言うとおり浮かない顔。
その言葉、嬉しいはずなのになんだか今は喜べない。
「………………」
理由は分かってる。
それに気付かされると、
やっぱり私って幼いなって。
だからこそ私達がカップルだということに気づいてもらえないんだって。