執事的な同居人
「……じゃあこれにする」
そう分かっていながらも、分かりやすく態度に出してしまう私。
ああ、幼い。幼すぎる。
ほんと…めんどくさいな、私って。
「紀恵」
途端。
レジに行こうとした私を呼び止めると
「どう?似合ってる?」
「……………」
「……似合ってない?」
「あっ、ちがっ…!えと、」
シュン…と悲しげな顔をするから
慌てて首を横に振った。
「に、似合いすぎてる!!!」
(寧ろ可愛い!!!!)
颯太さんは私と同じ形で色違いのカチューシャを付けていて、
そんな彼に何度も頭を頷かせた。
「そ?じゃあ俺もこれにしようかな」
「えっ!!?」
「ん?」
「なに?」そう言いたげな目をされて、
「いや……カップルみたい、と思っちゃって…」
同じ物ではないけれど、確実ペアカチューシャだというそれ。
それがなんだか、私達がカップルだということを周りに知らせるかのような。
「───っえ。な、なに…」
至近距離で見つめられ
声を詰まらせていると…
「カップル、じゃないんですか?」
彼は可笑しそうに笑う。
「まあでも。俺だけ課題があるのって、フェアじゃないよね」
「えっ?」
「紀恵にも頑張ってもらわないと。」
「が、頑張るって…?」
その端正な面に、
「颯太" さん "、じゃなくて?」
「っ!」
残酷な冷笑が刻まれた。