執事的な同居人
その後は園内をぐるりとまわって、私が乗りたいと言った乗り物もスムーズに乗れた。
「ここは昼になると空くらしいから、先にご飯食べよう」
と。
どこでその情報を手に入れたのか分からないけれど、全て颯太さんの言っていた通りになる。
そのおかげで乗りたいもの全部乗れちゃって…
「そろそろ休憩しようか」
私の顔を見て颯太さんは空いてたベンチに私を座らせた。
確かにちょっと疲れちゃった…。
何もかも全力で遊んでいたから、夕方のこの時間になると疲れが出てしまったみたい。
「飲み物買ってくるから、ここで待ってて」
そう言って、行こうとする颯太さんの服の袖をクンッと掴む。
「いい。……隣にいて欲しい」
すると、言葉通り颯太さんは隣に腰を下ろしてくれた。
そんな彼の肩を借りてポテンと頭を乗せると
「眠い?」
「ううん…」
「じゃあ、甘えたい時間?」
クスッと笑って。
私の反応を楽しんでる。
…………でもね、
「………、……うん。」
実は、そうでもあるの。
颯太さんがそばにいると
ずっと触れていたいし、触れてほしい。
人がいないのならキスだってしたいし
出来ることなら、二人っきりになりたい。
あの日のように彼の身体に触れたくて
あたたかいその身体に包まれたくて……
颯太さんの事が好きなんだもん。
そんな気持ちになってしまうのって、普通のことだよね?
「……ねえ、颯太さ───」
もたれていた頭を上げて、見上げると
「えっ。颯太さん……顔赤いよ?」
それを隠すようにか
口元を手で覆い隠しているけれど
そうであっても分かるくらい、なんだかちょっと動揺してる感じ。
その顔に見惚れていると、
「わっ!」
すっと目隠しをされてしまう。
な、なにっ!?
視界は真っ暗で、聞こえてくる音はこの遊園地にいる人々の楽しそうな声。
そして────
「…あんまり俺を煽んないで」
「!!!」
低い掠れた声が耳に響き、ピクリと身体が反応した。
(やばっ…不意打ちは慣れてないのに…)
といっても、未だに慣れてないことばかりなんだけど。