執事的な同居人






出来れば前のように




毎朝「おはよう」から始まり


2人手を合わせて「いただきます」をして、


「行ってきます」と声をかけ
「行ってらっしゃい」と笑顔で見送り


夕方になれば「ただいま」を言って
「おかえり」と迎える。


そしてもう一度「いただきます」をして


2人仲良く「おやすみ」と就寝。




そんな日々を

またあなたと過ごしたいけれど



私はその幸せを一旦頭の片隅に置いて、それとは違った日々を過ごすと決めた。





身の回りの事は自分でこなし、


行きたい大学も少し高めに目標を変えて


今まで以上に勉強に明け暮れる日々。




精神的にも疲れちゃって
会いたくてたまらなくなった時は



電話越しに聞こえてくる颯太さんの声に癒された。




電話をする時はいつも必ず、離れていることを感じさせない、そんな時間にしてくれるんだ。





お互い忙しくても月1で会う約束だけは欠かさず、会う度に彼はとても優しく私を包み込んでくれた。





だからこそ、頑張れる。





会える日が毎月の楽しみになっていたから
その日まで全力で頑張ろうって。






約束の時まで、1年半後。





ここに颯太さんがやってきたあの日は

追い返したくてたまらなかったけれど、





今度は、あなたのことを笑顔で迎えるよ。





「初めまして」から始まったことを


次は「おかえり」から始めるの。


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