執事的な同居人
「俺も前だけを見ることにする」
彼女の決意に俺自身も背中を押され
決意した。
向かう先は、あの病院へ。
重たかった足取りが軽くなっている感覚を感じながらその場所へ。
ここに来ると嫌でも脳裏に浮かぶのは
父さんの疲れたあの表情。
あの時手を振り払った俺のことを、父さんは今でも良く思っていないはずだ。
きっと俺を目にすれば
「余計なことを考えるな」と、
また頭を抱えて顔を俯かせるだろう。
そうであっても……もう、決めたんだ。
麗華に教えてもらった部屋番号へと
まっすぐ前を向いて歩く。
部屋番号の近くに表示された名前を確認して
ゆっくりとその扉を開けた。
俺は父さんが求めているような完璧な人間ではないけれど、
あの頃から大人になった今
「久しぶり………父さん。」
少しでもあなたの力になれれば。
カズ's story ー完ー