執事的な同居人





「勝手に見ないで」


「職員室前で突っ立ってるからじゃん。中入れなくて困ってた」


「あっ」





…邪魔だったのか。


そーいえばここ、職員室前だったけ。




扉の前で携帯を触っていたことに気づいて「ごめん」と小さく呟き横に寄る。



けれどカイは職員室に用事があると言いながらもなかなか中に入ろうとしない。




てゆーか、なぜ近寄ってくるんだ。





「……なに?」


「いやー」


「なんなの」





ジッと見つめられると逸らしたくなる気持ちが芽生える中、





「なんか、大人っぽくなったね?石沢サン。」





まさかの言葉に唖然とする。





「え、なに急に…」


「なんでそんなひいてんの」





だって言われたことないしそんなこと。
しかも急すぎるから。





「髪の毛とか緩く巻いちゃってさ」





伸びてきた手が私の髪の毛に触れる───前に。





「あっ!」





手に持つ携帯が静かに小刻みに震えてパッと顔を下に向ける。




見つめる先は携帯。


1件のメッセージはもちろん颯太さんからの返信であって、自然と口元が緩む。





(あー…好きだなぁ…。)





そう思ってしまうようなメッセージがズラリと並んでた。





「ほんっと石沢サンって…」


「んー?」


「俺に興味無さすぎてムカつく。」


「わっ!?ちょっ…!!」





わしゃわしゃと髪の毛を無造作に荒らされて、そのせいで携帯の画面が見えなくなった。

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