執事的な同居人
「でもなんでホストってこと知って…」
「俺のバイト先ホスト街の近くなんだよ。そこを抜けると近道になるからとおってんの。
その中に一際目立つホストクラブがあるんだけどさ~ その外壁に1回だけあの人の顔写真を見たことがあって。俺1回見たものは忘れないから一瞬であの人だって分かったんだ。」
そういえば、そんな才能があったっけ。
1回の授業で暗記できるなんて言っていたし
頭が賢いのもその才能のおかげだと。
「それで?石沢サンはどーしてそんな人と知り合いなの?まさか本当に通ってなんかないよね?」
「だから通ってないって……」
「あ~、じゃあ同居人さんの知り合いか。いろいろあって石沢サンとも知り合ったとか?」
なんでそんなに勘が鋭いんだ。
もはや一部始終を見られていたのかと疑ってしまうくらい。
「……そうだよ。その通り。颯太さんの知り合いだから私も知り合った。だからホストクラブになんて通ってない。」
ホントやめて欲しいその勘違い。
しかも職員室前で暴露なんて…
先生に聞かれでもしたら説教どころじゃ済まない気がする。
「ふ~ん?」
ニヤニヤと、なにか企んでそうなその顔。
「……じゃあもう用ないから」
何か言われる前に…と、逃げようとしたのだけど
「そう言えば俺、まだ石沢サンにお礼されてないよね?」
「……お礼?」
「そ、お礼。勉強教えてあげたじゃん」
…………ああ。
確かに「ありがとう」で終わらせてたかも…
「……何がいい?高価なものは厳しいけど…」
「欲しい物なんてないよ。
ただ、卒業したら行きたいところがあるんだ」
卒業したら…?
なんでそんな後の話?なんて疑問に思うも、
カイはいつもの爽やかな笑顔で
「ホストクラブ。そのカズさんがいるホストクラブに俺を連れてってよ。」
その言葉を知って卒業後という意味を理解した。
そしてその約束を大学生になった今叶えているという…