執事的な同居人
(今日は休み、か…)
あんなことがあってから数日。
私は毎朝、カレンダーを確認しては、深く溜め息をつく。
そのカレンダーには私と颯太さんの予定が書かれてあり、主に夜ご飯の有無が分かるようにと私が提案したこと。
けれど書かれていることは様々で、
私に関しては
レポートの提出期限だとか
試験の日だとか
小テストのある日だとか。
大学の事ばかりなのだけど、
颯太さんは真面目に夜の仕事が入っている日など、ちゃんと夜ご飯の有無について分かることを書いてくれている。
そして今日は何も書かれていないのだから、夜の仕事は無し。
(お互いに何も予定ないのに…)
こういう日こそ、颯太さんと一緒に居られる時間が長いというのにさ…。
「紀恵」
「っ!」
颯太さんに後ろからギュッと抱きしめられ、軽く驚いた。
「颯太さん…」
「最近溜め息ばかりついてるな?」
「あ……えと……」
「ん?」
言えない…
(ホストクラブに通ってるなんて、絶対言えない…)
例えそれがカイの練習相手をしてあげているからだとしても、ホストクラブに行っていることに関しては変わりない。
(ホスト街には行くなと言われているくらいなのに…)
その約束を完全に無視した挙句、颯太さんが働いていない日はそのホストクラブに通いカイの練習相手になってる。
「な、なんでもない。もう少しでレポート提出期限だな~って思ってただけ…」
隠し事に隠し事を重ね、ついでに嘘までついて完全に良くないことをしてる…。
「レポート?……ふーん。レポートねぇ」
「…うん。だから今日も帰りが遅くなるかも…」
本当は学校が終わったら速攻家に帰りたいし、こうやって颯太さんと触れ合いたいけど…
(少しの間我慢すればいいだけの話だ。)
バレないように、何事もなく終わらせよう。
そう決意して────。