執事的な同居人
その後カイは正式に採用され、研修期間はたった4日間で終わりを迎えた。
そのため嬉しいことに私もカイの練習相手から解放。
学ばせてもらうことも多々ある中で、練習相手になってと言われたから来ていたのだけど……
「そんなのただの口実に決まってんじゃん。」
ケラケラと笑って、真面目に聞き入れていた私をおちょくるように言ってきた。
(この野郎……)
マジで、しばきたい。
「石沢サン、簡単に引っかかっちゃうし。同居人さんも気が気じゃないだろうね~」
「一発殴らせて」
「あははっ!女の子に胸ぐら掴まれたのは初めてだ」
「(ヘラヘラと笑いやがって…)」
口が悪くなっても仕方が無いと思う。
怒っているというのに、コイツずっと笑顔なんだもん。
そんな私達の会話を涼さんは微笑ましく見ていた。
「ちょっ、石沢サン、なかなか強いね力…」
苦しそうな表情を浮かべるカイ。
こんなことなら練習相手なんて元から涼さんに任せてしまえばよかった。途中からずっと居たし。
(けどまあ……)
私自身もいろいろと学べたし、
得たこともあったから
(いっか…。)
なんて思っていたことが、
この後裏目に出るとも知らず。