執事的な同居人
結婚について






「就活したくないよ~」




ある日の大学の昼休み。



この大学に入学してから仲良くなった3人とご飯を食べ終えると、1人の友達が机に突っ伏して1冊の冊子を眺めてた。



その冊子は就職活動についてたくさん書かれてあるもの。企業説明会の日程やら、面接での服装、身だしなみなど当たり前のことまで。


いろんな情報がそれに書かれてる。





「来年から私達も就活生だもんね~」


「早いなぁ…もう4回生だよ」


「卒業したくなーい」




みんなの言葉に、私も うんうん と頷く。




就職活動かぁ…大学受験の時みたいに、また慌ただしくなるんだろうな。





時の流れは本当に早く、私は既に20代に。



颯太さんと暮らす日々は今も尚続いていて、付き合い始めてから数年が経っていた。





「紀恵はいいよね~」


「ん?なにが?」





不意に私へと向いた会話。





「素敵な彼がいるじゃん。」


「いやいや…就活となんの関係もないじゃん」





既に友達には颯太さんの存在を知られている。



いつの日か颯太さんが大学まで迎えに来てくれた時、その場にこの子達もいたものだから紹介する流れになった。


後日根掘り葉掘り聞かれたっけ…





私の返答に「だって、ねぇ~?」なんて。


周りの子に確認するようにニヤニヤと笑みを浮かべるこの子。





みんなもその視線に頷いて───






「「「専業主婦になる道もあるじゃん!」」」





……と。みんな声を揃えてそう言った。





「…………は?」





専業……主婦?





「まって?まず結婚してないし!!」


「卒業してからすればいいじゃ~ん」


「そうだよぉ~ しかも相手は社会人!なおかつイケメン!!お金ありそうで包容力もありそうで、見た感じ仕事も出来そうだし!」





それに関しては何も言い返せない。




お金は……知らないけど、確かに包容力はある。



私のワガママだって何も言わずに受け入れてくれるくらいだもん。





「誰かに取られる前に固い繋がりを結んでた方がいいって!」


「そうそう。誰かに寝取られる前にね~」


「寝っ…?!」





そ、それって……

たぶん、きっと、あの行為…だよね?




思い返すと身体がドッと熱くなるも、






「ありえない話じゃないよ?
実際彼氏寝取られた子とかいるし。」






必死に友達の話に耳を傾けた。


< 402 / 422 >

この作品をシェア

pagetop