執事的な同居人
ストロベリーも美味しいけどバニラもありだな…
「そ、うた……も、食べる?」
食べる?と聞いたのは、私の手に持つストロベリー味のアイスのこと。
うぅ…やっぱり慣れない。
付き合って数年は経っているというのに未だに慣れない呼び捨て。
たまにこうやって呼んでみるけど、途切れ途切れになってしまうのは恥ずかしいから。
「是非。」
「(食い気味…)」
顔を赤らめる表情を楽しむように見つめては、食べさせてと言わんばかりに口を軽く開ける颯太さん。
その顔はどこか嬉しそうで。
少し緊張しながらも颯太さんのその口へ
ストロベリー味のアイスを乗せたスプーンを
近づける。
「……颯太さん、」
私と同様、軽く口の中へと入れてあげた──瞬間に。
「結婚って…どう思う?」
「っ!ケホッ…」
その一言でなのか、ストロベリー味のアイスがどこかの器官に入ったらしい颯太さんは少し苦しそうに咳をした。
「急っ…ケホッ、だな…」
「急じゃないもん…」
私はずっとその事で悩んでたから。
颯太さんは見た目も良くて性格も良くて
なおかつなんでも出来る完璧な人。
だからこそ
この前の遊園地の時だってそうだし、
麗華さんのあの事件もそうだし…
これから先も颯太さんを狙う女の人っていっぱいいると思うんだ。
その中にはモデル並みに綺麗な人だって、颯太さんと性格が超絶合う人だって……きっとたくさんいる。
そんな人が現れると、いつかは見た目も性格も子供っぽい私のことなんて興味なくなるんじゃないかって。
『誰かに取られる前に固い繋がりを結んでた方がいいって!』
友達のその言葉がずっと頭の中でループしてた。
『ありえない話じゃないよ?
実際彼氏寝取られた子とかいるし。』
颯太さんが誰かに取られてしまう。
それだけは……嫌なの。