執事的な同居人
高熱
「私ねホストで働く人と同居してるんだ~」
なんてちょっと面白半分で友達に言ってみれば
「え?なに自慢?
あんたホストと同居なんて恵まれてるね~
なんかもう漫画の世界じゃん」
予想とは全く違った言葉が返ってきた。
なんでだ。
何が恵まれてるんだ。
全然恵まれてない真逆だ真逆。
「ただいま」
ずっと心の中で否定しながら家に帰ってこれば
あのホスト(厨房担当)の姿はなくて、机の上に一枚の紙が置かれていた。
”今日は遅くなりますから、先にご飯食べていて下さい。
冷蔵庫の中に入っている物です。
今日もまた雨が降るようですから、服をとり込んでいて欲しいです。
よろしくお願いします。”
「はいはい、わかりました」
誰もいないにも関わらず
私は自然とそう発していた。
まあ仕事遅くなってくれて良かったのかもしれない。
どうせ顔もみれなさそうだし。
外を見ればまだ雨が降りそうな天気ではなくて
「(あ、今日雑誌の発売日だ)」
なんて事に気づけば
私は財布だけを手に持って家を出た。
案の定、あの手紙の通りに雨は降ってきて
「げっ」
完璧その事を忘れていた私は
ずぶ濡れで家に帰るハメになった。
「あー!!服!!」
そのずぶ濡れのままダッシュでベランダへと向かい
またさらにずぶ濡れになりながらも服をとり込む。
服がペタリと肌にひっつくくらいに濡れて冷たくて
急いでお風呂に入ったものの、
「あー最悪…」
39.1℃という、高熱。