執事的な同居人





嫌がるから強引に飲ませたって言った。
いや、でも、まさか。
そんな漫画のような展開ある?普通。





「(く、口移し…?)」





そのワードが脳内にこびりつく。




ポッと身体が熱くなっているのを感じて
熱上がったんじゃないかと思った。




でも胸がドキドキしている自分に気づいて
熱とは違った熱さだと分かる。




恋愛経験無しの私。
もちろんキスだってしたことない。




だけど、もしかしたら
ファーストキスってやつを颯太さんに奪われたかもしれない。





「(でもあれはただ薬を飲ませてもらっただけで…)」





信じたくないそれ。
認めたくない状況。




だから否定したい理由をいろいろと考える。




だけどこれはもしかしたらの話だ。
もしかしたらそうかもしれないって話。





「(深く考えるな、私)」





そう自分に言い聞かせ
なかった事にしたい。




ただ今の私の心境を一言で言えば





「(最悪だ…)」





絶望でしかない。

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