執事的な同居人
意識
「紀恵さん」
「……………」
「きーえさん」
「……………」
ガシッ
「へっ!?な、なに!」
「やっと気づきましたね」
ソファーに座る私の両頬を、颯太さんの男だけど綺麗な手が触れていた。
目の前には颯太さんの顔
ビ、ビックリした……
「どうしたんですか?さっきからずっと。何か悩み事ですか?」
悩み事
その悩みがお前だよっ!!
「いや…まぁ、うん…」
なんて言えるわけないし
キスした?
なんて聞けるわけがない。
「……い、いい加減放して」
「…………」
だけど
一向に放してくれないそれに
至近距離のそれに
「(うっ…)」
私の目線は口元の方に向いてしまう
私はこれとキスしたかもしれない
なんて変に意識。