執事的な同居人
「母親の浮気が原因で離婚したらしい。島崎は父親の方に引き取られたらしいな」
そうお茶を飲みながら落ち着いて言うお父さん。
「そう…だったわね」
気まずそうにするお母さんと
「…………」
初めてそういう理由で引っ越した事を知った私。
颯太さんが引っ越した時の記憶は少しだけある。
あの時は大泣きして颯太さんから離れようとしなかった。
「いやだぁぁああ!!行かないで!!嫌だ嫌だ嫌だ!!!」
「……………大丈夫だよ、紀恵。僕はすぐに会いに来るから泣かないで」
「すぐっていつ!!?やだ!!遠くに行かないで!!」
止めるのに必死だった私。
だけど幼い頃の私には颯太さんを引き止めるようなそんな力なんてなかった。
「でも立派な大人になったわね颯ちゃん。どう?紀恵。颯ちゃんと暮らしてみて」
いきなり話をふられ
フト我にかえる私
「あ…、うん。凄く助かってる」
「そうか、なら安心だな」
「それで何か聞きたい事があったんじゃないの?」
お母さんのその言葉でハッと思い出した。
そう言えば聞きたい事があるんだ。
昔からの知り合いだったと知り
それだけで満足していたけど
あともう一つ…
「颯太さんって結婚とか付き合ってたりとかしてないのかなー…って」