執事的な同居人
家に帰ってきても彼は当然のようにいない。
次の仕事に行ったんだな~ってもう慣れたようにそう思うだけ。
テーブルの上に置かれた今日の夕食らしい物は少し温かいままで
ついさっき出来たばかりだという事を知る。
(入れ違いだったか)
とりあえず今はまだ食べる時間帯じゃないし
まず着替えてお風呂沸かしてそれから…
制服を脱ぎながらテレビを付けてウロウロしていれば
突然どこからか聞き慣れた音が聞こえて、まさかと思い制服の上着に手を突っ込む。
取り出したのは携帯で
あのアプリから一件通知がきていた。
「ゲッ…」
その相手はもちろん
あのキラキラ王子。
(…これも勝手に追加したんだな)
苦笑いを浮かべ、なんの躊躇いもなくトーク画面にすれば
『もう家着いた??俺まだ電車。暇だから送ってみた』
ただそれだけの内容で、
(別に返さなくていいか…)
なんて冷めた事を考えていたら再び王子からの通知。
『さっき伊藤先生に会ったんだけどあの頃よりもさらにザビエル化(笑)』
その言葉にふふっと笑みがこぼれてしまう私。
ふと中学生の頃を思い出す。
数学の担当だった伊藤先生はザビエルのような髪型をしていた事から
あだ名がザビエルだった先生の事。