執事的な同居人







ちょうどその時にガチャ…と静かに開いたドア。



帰って来たのは夜の仕事を終えた彼。




もう紀恵さんは寝てるだろう。そう思いながら静かに中に入る。



だけどリビングに入ればソファーの上で眠る紀恵さんの姿。




(こんなところで寝てる…)




電気もテレビも付けっ放しでスヤスヤと眠る紀恵さん。




(…無防備にも程がありますよ)




はぁ…と溜め息をつきながらも、自分の部屋から毛布を持ってきて



紀恵さんの上に掛けてあげようとした。が。




(携帯掴んだままですし…困りましたね…)




取ってそばの机に置いておくべきか…だとすると起きてしまうかもしれない…


じゃあそのままにしておくべきか…




彼女の右手に掴む携帯に目線が向けば自然とその画面を見てしまう。




(………、…佐々野海)




上に表示されたその名前。




会話していたのかソイツの返事で止まっていて



紀恵さんは多分寝落ちしてしまったのだろう。




(……………)




スヤスヤと眠る紀恵さんを横目に、気がつけばその携帯をゆっくりと取り上げていた。




ついさっきまで話していたらしいそれに、




俺は勝手にソイツへあるスタンプを送信する。




(………あ。)




送信した後、我にかえった俺は「(しまった…!)」と後悔する。


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