執事的な同居人
「だからアレはミスだって…」
その突如
「っ、」
いきなり私の頬に手を添えてきやがったこの王子に目を見開く。
「今ならキスだけで許してやってもいいけど?」
「っ!?」
(ちょっと待って…!何言ってんのコイツ…!!)
慌ててその場から逃げようと身体を動かすが
「おっと、逃げんなよ」
「っーーー」
残念な事に自由だった手をガッチリと掴まれ壁に抑えつけられる。
違う意味でバクバクと騒がしいほどに速まる鼓動。
「あんたのどこが王子…!」
王子って言葉すらない…!
ただの悪魔だ…!!
「さあ~?どこが王子なんだろうね。勝手にそうつける奴が悪い。」
「っ!!!!」
グッと頬に触れるその手の力が強くなったのと同時に
王子との距離がさらに縮まった。
それとの距離が数センチってくらい縮まると
唇を隠すようにギュウっと閉じる私。
(こんな奴に初めてを捧げるかバカ野郎!!!)
唇と共に目も必死になって閉じていれば
「なーんてね」
手元に加わっていた力がなくなり、パッと解放された。